2015年4月21日

知的障害や難治性てんかん発症の仕組み解明

東京都と都医学総合研究所は、知的障害や難治性てんかんなどを引き起こす結節性硬化症という難病について、同研究所などの研究グループがこの病態のメカニズムを解明したと20日までに発表した。この病気にかかると情報を伝達する神経細胞間の接合部(シナプス)が脳内で正しく作られなくなることを見いだし、その仕組みを明らかにしたという。研究グループは、将来的に知的障害や難治性てんかんなどの新たな治療法の開発につながると期待している。【丸山紀一朗】

結節性硬化症は、皮膚や肺などに良性の腫瘍ができる難病で、主な神経系の症状として乳児期から始まる難治性てんかんや知的障害が知られている。研究グループによると、正常な場合は「Tsc」というたんぱく質が「Rheb」という別のたんぱく質の働きを抑制しているが、Tscに異常が生じるとRhebが活性化され、病気を発症することが分かっている。肺などの腫瘍に効果のある医薬品はあるが、てんかんなど神経症状に対する既存の薬の有効性は「確定していない」という。

そこで研究グループは、結節性硬化症による知的障害などの発症機構を明らかにしようと、モデル動物から神経細胞を培養し、そのシナプスに着目した。正常なものは情報を受け取る側の神経細胞の突起がキノコ状に膨らむことで、人間の記憶に必要と考えられている細胞内のイオンの濃度を調節しているが、結節性硬化症ではキノコ状にならず、突起上に直接シナプスができていることを解析の結果、突き止めた。これにより、細胞内のイオン濃度が上昇せず記憶に障害が生じるほか、逆に過剰なイオンが流入した場合はてんかん発作のように興奮しやすくなるという。

さらに、結節性硬化症では「syntenin」というたんぱく質がRhebから離れ、増加することを発見。この病気にかかった場合、脳内のシナプスを正常化するためにはRhebやsynteninの機能を抑える必要があることが判明した。研究グループは、今後、知的障害や難治性てんかんを予防・軽減するためには、Rhebやsynteninの働きを抑制する薬の探索や開発が必要としている。

この研究の成果は、16日付の英国科学誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載された。この研究は文部科学省科学研究費補助金新領域学術領域研究と、日本学術振興会基盤研究Bの支援を受け、同研究所の杉浦弘子基盤技術研究職員、安田新客員研究員、山形要人副参事研究員、福岡大の桂林秀太郎准教授、順天堂大の樋野興夫教授、小林敏之准教授らとの共同で行われた。

[CBニュース http://www.cabrain.net/news/article/45509.html]