2015年4月18日

第31回 術後に尿量が安定しない患者さん(その5)

解説山内豊明
神経内科医師として臨床経験後、カリフォルニア大学医学部勤務を経て、看護学を学ぶため看護大学へ。1998年ケース・ウエスタリン・リザーブ大学看護学博士課程修了。帰国後、99年に看護士、保健士の免許を取得。専門はフィジカルアセスメント学。
※資格名は取得当時のもので記載しています。

今回は事例のつづきとその解説を見ていきます。

事例つづき
その後、尿量は確保できましたが、頻脈があり、尿比重も高いままでした。
スケールでの確認を中止し、○○時間ごとに尿量を医師に報告し、その都度、利尿剤を投与するか経過観察をするかを決定していました。患者さんは徐々に尿量が安定しました。

 

in-outについて考える

では、事例を見ていきましょう。輸液を80mL/hで行っていて、尿量が8時間で240mLをきるとのこと。

つまり、尿量は30mL/hということになります。

80mL入れて、尿量が30mLをきったら利尿剤を使うということは、このオーダーを出した医師は、患者さんが元々脱水ぎみだと想定して、オーダーを出したとも考えられます。

一方で、やはり80mL入れているのに、30mLしか出ないということは水分が過剰になっているため、利尿剤を使ったほうがよいと考えるのも間違いではなさそうです。

どちらにしても観察時間が8時間ごとということは、それほど循環動態が不安定という状態ではないということがわかります。

どんな情報が足りないのか

次に追加情報としてどんなことがあったらいいかを考えてみましょう。

今回の事例は、利尿剤を使用したほうがよいのか、補液を行ったらよいのか、経過観察がよいのかを考えるという内容です。

これを判断するために知りたいのは、尿が出てこないのは、水が足りていないのか、サードスペースに逃げているからなのか、ということ。

これを知るためには、尿比重はどれくらいなのか、術後からどれくらい経った患者さんなのかといった情報が必要となるでしょう。脱水症状があるならば、尿比重は高くなります。

また、術後、2〜3日でサードスペースへと逃げていた水分が血管内に戻り、尿量が増加します。

つまり、尿比重が高く脱水が疑われ、術直後であればそれはサードスペースに水分が逃げているためと考えられるので脱水を防ぐために補液を選んでもよいでしょう。

逆に術後3日以降で、尿比重も高くなく十分な尿量が確保できていないとなると、体内の水分が過剰となっている可能性が高いので利尿剤の使用を考えるとよいのかもしれません。

それに加えて、術前の心機能はどういう状態だったのかといったこともわかると、補液をして心臓に負荷をかけても大丈夫なのか、できるだけ負荷をかけないように利尿剤を使ったほうがよいのか、といったことを考える助けになりますね。

次回の事例
しばしば胃部不快感を訴える自宅療養中の患者さん
[もこもこさんから提供された事例]
心筋梗塞の既往があり、心不全、胃潰瘍、便秘、下肢の筋力低下により寝たきり状態で、自宅療養中の患者さん。
自力排便が困難なため定期的に摘便し排便コントロールを行うため訪問を開始。しばしば胃部不快感を訴えていました。
訪問当初は脈拍60後半〜70回/分でしたが、50後半〜60/分となっており、腹部膨満がありました。
→この患者さん、どう対応する?

[ナースプレス http://nurse-senka.jp/contents/press/218129/]